「ねねねねね姉さん
ていうか兄さん事件ですーーー!!」
うっかり再びヴァイオリンを弾くことになってしまって10分後。
この事態を打開すべく取り合えず部室に飛び込む事にした。
奴らがどうか出来る問題でもないが、
いざとなれば適当な部員を生贄として捧げる必要がある。
あれです、
世界の平和を守る為には犠牲が付き物なのです。
そんなことを考えつつ、たのもーと叫びながらドアを開けると
もう部活開始時間になろうというのに
だらだらと着替えをするもの3名
なんか喋りまわってるの5名
飲食上等、酒と食い物もってこい9名
趣味の世界12名
部員の半分1人遊びしてますよ。
残念すぎる。まさしくがっっかりイリュージョン。
なんていうか、サッカーって団体競技なんだから協調性とか重要なはずなのに
半分くらいクロスワードやったりDSしたり1人トランプに興じている。
普段はそこそこ快活な人間が揃っているはずなのに
どうして気を抜いた瞬間にウチのサッカー部員達は
引きこもり属性を惜しげもなく披露するのだろうか?
「お前が妹だった記憶はない」
「うわ、お前滅多なこと言うなよ鳥肌たったじゃねぇか」
「自分より男らしい妹もなー」
「まーなー人間ギリギリだしな」
「妹萌え属性の人に謝れ」
そして協調性がないくせにこんな時ばっかり全員攻撃ですよ。
ええい、私のゴールキーパーは何処行った!!
ウィニングイレブンは!?
こちとらまだチーム編成も済んでいないのに総攻撃とか
卑怯すぎるぞこの野郎。
スポーツマンシップの欠片も無いな。
ちょっとした軽い冗談じゃないですか。
本気で嫌がりながら罵るとかどういった了見で。
全く持って心の狭い連中ですよ。
つうか私実生活においても妹なんですが、
そこら辺のところ忘れてない?
そろそろ黙ったらいいよ。
何でそんな他人の悪口を言うときばっかり積極的に発言するんですか。
その積極性は授業中に発揮すると
大山先生(学年主任・英語担当・生徒のリアクションと頭が薄い事を悩む45歳)
が超喜ぶよ。
私は遠慮させていただきたい。
「つうか、日野にお兄ちゃん大好きとか言われたら死ねる」
「言葉すらも凶器に変える‥なんて恐ろしい子‥」
だから黙れ。
そんな兄弟が居たら私が見たい。
幼少時ならともかく物心ついて10年以上経とうというのに
そんなこと言い合う兄弟は居ない。
少なくともうちもっと殺伐としている。
教育方針が弱肉強食だし。
第一君達の話を総合すると
ウチの兄姉だいぶかわいそうな人間設定になるじゃん。
こんな健気な妹を持って幸せなはずだよ?
本人に行ったら絶対キレるけどね。
この間とか超怖かった。
‥そりゃまぁ、勝手にアイス食べた私が悪いけど
損な切れること無いじじゃん。お姉ちゃんめ!!
「何ぼっとしてるんだ?喰いすぎか?」
「違います」
土浦‥言いたい事は
それだけか‥!!
しかも声がマジなのがさらに癪に障ります。
というか周りの連中も哀れんだような目で納得しない。
くっ‥何てデリカシーンの無い連中なんだ‥
お前ら思い悩む乙女の姿を見た感想がそれか!!
もてないはずだ。
まぁ、特別カッコいいとか言うわけでもないので更に。
中には彼女持ちな奴も居るって言う事の方がビックリですよね。
そう思って部員達の様子を窺うと相変わらずフリーダムに過ごしている。
まて、ここ掃除するの私なんだから待て。
本当にどっからどう考えても駄目人間ばっかりだなうちの部員は。
本当にそんなだからバスケ部の人たちに
『サッカー部っていつも楽しそうだよね、コント』
何て嫌味言われるんだ。
まぁ私の健気な苦労も知らずに
そんな暴言を吐いた不届き者はもちろん
始末しましたが。
当たり前です。激乙女系だから戦いとか嫌いだけど
それでも立ち上がらねばならない‥!!
ヒロインは時に凛として戦うものなのです。
だって私そういう宿命の下に生まれた薔薇乙女だからさ。
「そもそも大事なマネージャーが血相変えて
部室に飛び込んできたら心配して
事情を聞くものではないですか?」
「転校生に迫られて大変なんだろ?」
「にしてもアレだよなー不憫というか何と言うか‥
大前お前の家の近くに眼科なかったっけ?」
「大城医院でしょ?結構評判いいですよ。明日その加地に案内もって行きましょうか?」
「そうしてやれ、若いのに目が悪いなんて可哀想だからな」
「何の話ですか?」
たとえそれがこんな集団の為だったとしても。
なんですか、加地君が私の溢れんばかりの輝きに惚れたとか思う
極々普通の感覚を持った男子高校生は居ないんだなこの中には。
でも負けないだって女の子だもん。
「‥なぁ‥待てよ、もしかしたらその加地ってやつ‥」
そんなことを考えながら、
どうやってこのサッカー馬鹿たちの目を覚まさせてやろうかと思案していると
部室の奥からこの
加地君、目が悪いほどにもあるなんとうか、
趣味がまっがーれ↓スペクタクルすぎるだろ
な流れに異議を唱えるかのような声が聞こえてきた。
この声は‥
佐々木!!
いいぞこの連中の目を覚ませ。
「脳外科とかそのあたりじゃ
ないのか?管轄」
「「「あぁー」」」
「いやでもストレスたまりすぎでおかしくなってるのかもよ、カウンセラーが先じゃね?」
「「「おぉー」」」
期待なんかしなければ
絶望せずに済むのに‥!!
狂乱騒ぎをしている馬鹿どもをこれ以上見ていたくなくて
そっと部室のドアを閉めました。
悔しいので明日ユニフォームを洗濯するときに
ティッシュを一緒に放り込んでやろう。
どいつもこいつもこの
くだらなさ満開の絶望を味わうがいい。
今日はもうどうしていいか分からなくなってきたので家に帰って
パワプロしたいと思います。
明日は明日の風が吹くから大丈夫だ、たぶん。